無垢

 

この辺には工場が多い。

だから子供達も隠れ場所の多い工場で遊ぶ事が多かった。

危険がいっぱい。

だから楽しい。

子供の心理なんてそんなもの。

「あっ・・・。」

ボールが子供達の手を離れてどこまでも転げて行く。

誘うかのように。

 

「これで取引は成立だ。」

トラッシュケースを二つ手に持った男が

興奮気味に息を荒立てて行った。

一人の男はそんな様子を見てクスクス笑う。

欲望とはすごいものだ。

理性さえも失わせる。

今の自分もきっとそんな状態。

だからこんな考えも浮かぶんだろう。

顔からにやけが消えない。

スッと背広に隠していた拳銃抜き取って

相手に銃口を向ける。

「なっなんだ!ちゃんと渡すものは渡したろ。

うっ嘘だと思うならあっ・・・・開けてみろ!」

「お前が悪いんだ。」

オレと取引なんてしようとするから。

取引なんて成立しないさ。

俺は『もらう』んだ。

「さようなら。生まれ変わったら

もっといい役回りがまわって来るさ。」

空に響く、いつもと違う音がなる。

 

転がるボールはためらいなく

幼いその子を闇へ連れ込む。

そして止まる。

ぴたりと。

その場所に。

「つぅーかまぁえたっ。」

男の肩がびくりと震える。

振り向くとそこには小さな少女が一人、

ボールを抱えて立っていた。

見られた。

突然の事で体が動かなかった。

一つの言葉が頭をまわる。

見られた。みられた。見ラレタ。ミラレタ。

「舞子ちゃーーーーーーん。早くぅーーーーー。」

「う〜ん!今行くっ。」

舞子と呼ばれた小さな少女は

呼ばれて仲間の元へと戻って行った。


作者より    
犯行現場・・・?不明っすねぇ。
よければ次へどうぞ。

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