歪んだ愛情

 

「行こう。ラス。」

とにかく仕事を終わらせよう。

そうすればきっと静まる。

この動悸。

人間らしい感情なんてもうどこにもないと思っていたのに。

「行こう・・・。」

 

近づく少女の家には小さな明かりが一つ。

昔から知っている。

少しだって変わっていない。

歩み寄ってノブを回す。

不覚なことにカチャリと音を立ててしまった。

気付いて近づいてくる足の音。

それとともに聞こえるのは幼い少女の高い声。

「お母さん?もう仕事終わったの?」

止まる。

少女の足音が。

殺羅をみつめて立ち止まる。

「舞子・・・。」

表情に出ない感情隠して少女の名を呼ぶ。

知らない。

オレは知らない。

こんな感情。

輝くような微笑で言葉を紡ぐ。

「お兄ちゃん帰ってきたの?」

「・・・・・。」

「じゃあさっじゃあさっ一緒に御飯食べようよ。」

嫌だと言えなかった。

否、言いたくなかったのだ。

無意識にその小さな手を取ってしまった。

小さな小さな。

でも、とても温かい手。


管理人より
これで一つ謎が解けましたぁ。
舞子は実は妹だったと・・・。
・・・だとすると殺羅舞子か!?(ぉ

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