涙と雫

 

肩口でスース―寝息をたてている舞子を床へおろしてやった。

ラスをぬきとる。

その手が震える。

拒んでいる。

でも、この世で生き続けるのはつらいだろう。

そしてどのみち消える。

この世から。

ならばオレがそれをなそう。

心に決めた。

これは誓い。

なのに今になって何故拒む。

小さな手が離せない。

いつもは戸惑いなく振り下ろす刃が

今はどこに下りればよいのか解らずただ空中をさまようのみ。

ひとつ呼吸をおいた。

「解放してやる・・・。」

この汚れた世界から。

キミが生きていくにはあまりにもここは汚れてしまっている。

だから・・・・・・・。

 

赤い色がじわりと服に滲む。

それは次第に広がり大輪を咲かす。

抱き寄せて抱きしめて・・・。

そのまま何も言わなかった。

頭の中が真っ白だった。

そんなこと一度だってなかったのに。

透明ななにかが頬を伝った。

止まらない。

止まらない。

こぼれて雫が静かにはじけた。

何だろう。

これは何?

失った悲しみ?

何をイマサラ失うというんだ。

すでに残っているものは何もないはず。

なのに何故涙がでる?

 

温かさを失った体を床に寝かせて家に火を放った。

その場を去る殺羅の目にはまだ・・・・・。

 

けれど姿が闇に消えるのとともに心の揺れとその感情は暗闇へと沈み

やがて

シャボン玉がはじけるように

 

――――――――消えた。

 

第二殺完

 


作者から
終わった〜〜〜。
殺羅の気持ちが中心だったので
いつにも増してめっちゃドロドロ〜;
次は・・・ちょっと爽やか・・・だと、お・・もうです。

 

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